今日も院内に鳴り響く電話のコール音…
どこの動物病院でも当たり前にある電話。
電話が鳴っているのに採血中で手が離せない! 採血を中断するしかないのか…なんてことありませんか? 今日はそんな電話にまつわる1秒のご提案です!
電話に出るな!
ちょっとー!
ずっと電話なってるよ!
誰か出てー!!!
かえる君、
今はみんな手が離せないみたいだから出なくていいんじゃ?
何言ってんだよ!?
緊急の電話だったら
どうするんだよ!??
その可能性もあるんだけど限りなく低いよね??それに電話では治療はできない。
絶対に電話に出なければいけないことはないんだよ!
き、きみって奴は血も涙もないんだな!そうか、君は動物が好きじゃないんだ!見損なったぞ!
もう、良い!
僕が電話に出るぞ!!僕がこの緊急の子を助けるんだっ!
ハイッ、もしもし!
大変おまたせ致しました、かえるです!はい、はい。…あ、ご飯の注文ですね。ハイ、かしこまりました〜!
かえる君、気が済んだ?
ふんっ!
飼い主さんは安心してたよ。
それに、動物を守ろうとしない君とは口を利きたくないね。
かえる君、今きみが脇に抱えているチワワを見てごらん。ひどく怯えている様子だよ。
脇にチワワを抱えながら電話に出るってのは、君にとっては動物を守る行為なのかい?
ぐ、グワッ!!
それに関しては、グワの音も出ないよ…
で、でも電話に出ないなんて
失礼な病院じゃないか!?
悪い評判に繋がりそうだ!
そりゃ忙しくて
出られないこともあるさ!
そういう業種なんだから!
それに院内で待ってる飼い主はどう思うかな?
予約もして時間を守って来ている人を、電話の人が順番抜かししてるとも言えるよね。
そんなこと言ったって
しょうがないじゃないか〜
でもね、えなりくん、例えば
手が空いてる時しか電話に出ないとか
○コール鳴るまでは出ないとか出ないことも前提のルールがあってもいいと思うけどね!
なるほどな〜。
電話を出ないことで
守れる命もある
という事を学んだよ。
MAICにこだわれ!
電話に出ないことをオススメしている訳ではありません。優先順位をつけましょう、という事ですね。
ただ、もっと重要な考え方を提案させて頂きます。それが、『MAIC』です。『オペレーション・マネジメント』という分野で知られる改善方法で、
M(Measure:測定)
A(Analyze:分析)
I(Improve :改善)
C(Control :定着)
の4つを継続的に回しながら品質を向上させるマネジメントサイクルです。
これが大切だと言われてもピンと来ないですよね。
具体例とともに紹介しますね。
具体例(サーカス動物病院の場合)
開業から数ヶ月が経ったある日
「人手が足りません!」
という要望を受けました。
よくよく話しを聞いてみると
基本的に人は足りているが、
1人電話に取られると人手が足りなくなってしまう
との事でした。そして、電話が増えてきた、と。
そこで、
① 電話の回数
② 電話の内容
を1週間メモしてもらいました(Measure:測定)。
その内容を見てみると、
『食事変更に関する問い合わせ』が目に付きました。
皮膚科専門診察をしている事もあり、食物アレルギーを疑っての食事変更指示が多く、それに伴う問い合わせが多いことが分かりました(Analyze:分析)。
そこで、よくある質問をまとめたインフォームド資料を作成することにしました(この時、現場スタッフに「もっと上手く説明して!」なんて言わないようにしています。現場の人は皆それぞれ頑張ってますから)。完成したのが下記のポストカードです(Improve :改善)。

配布が開始されたら現場スタッフにヒアリングをして、「良い感じ!」をもらえたらポストカード置場を作成して完成です(Control :定着)。
インフォームドも楽になり、電話も削減出来、一石二鳥の施策でした。
このような形で、そもそもの電話を減らす、が出来ると現場も飼い主さんも楽ですよね。
是非『MAIC』を意識して、試してみて下さい。
まとめ
【明日からできるアクションプラン】
① 電話に出ない前提のルールも作る(状況、時間帯、人数など考慮)
② 留守番で出られない旨を伝える設定にしておく
③ MAICを意識して、電話の数と内容を測定開始する
【削れる時間】
・電話によって対応が遅れた時間(20分/日)
また他にも上級者向けの時短テクニックとして、
・コールセンタースタッフを置いてみる(土日だけでも)
・昼は留守電対応にする
・電話対応のマニュアルを徹底する
などのテクニックもあります!
「うちの動物病院ではこうしてます!」といったアイディアやご意見もお待ちしておりますので、
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以上、電話にまつわる1秒でした!
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